
熊森協会のシンポジウムに行ってきました。
行政の担当者、野生動物の研究者、昨年熊にりんご園を全滅されられた方、熊の駆除に当たった猟友会の方など、さまざまな方のお話を聞くことができました。
昨年は大量に熊が殺されましたが、兵庫県では、熊が出たときの対策を5段階にわけ、人身事故が起こったようなやむをえない場合については捕殺することもあるが、基本的には山へ返すようにしており、昨年捕獲した46頭中殺されたのは7頭で39頭は山へ返したそうです。殺されたと言っても一部の熊だったんだと安心していたら、都道府県別のデータを見てびっくり。ほとんどの県では捕獲した何百頭もの熊のほとんどが殺されているのです。兵庫県は10年以上前から熊森協会が行政に働きかけてきたおかげでこのような対策がとられるようになったのでした。
熊を射殺する立場の猟友会のかたは、最初はやむをえないことと思っていたが、あまりにたくさんの熊が出てくるのでこれはおかしいと思い始めたそうです。捕獲した熊の中には適切な処置をすれば十分山へ返せる熊もいるのに、行政・住民・山の所有者などが承諾してくれないために殺さざるを得なかった、母熊が捕獲されると必ず子熊がそばにいて、その子熊まで殺さなければならないのがつらかったと話されました。何とか熊が人里へ来るのを食い止めたいと、えさになるような柿の木があると、早く実を採ってもらい、高齢者だけのお家には猟友会のメンバーが柿もぎのお手伝いに行ったと話されました。
りんご園を全滅させられた農家の方からは怒りの言葉が出るのかと思ったら、私たちが50年かかって山を熊の住めない場所にしたんだから、熊にりんごを食べられるのは仕方ない、むしろりんご園で熊が止まってくれて人に怪我をさせなかったのがありがたいと話されました。
柿の実がなくなったらまた山へ帰るのだから、おなかをすかせた熊に柿ぐらい食べさせて
やってほしいと言う意見もあり、環境問題は答えがひとつでないところが難しいところです。でもいろいろな方の率直なお話を聞けてとても勉強になりました。
特に熊森協会では高校生や大学生と言った若い人達がとても熱心に活動していて頼もしく思いました。
http://hb6.seikyou.ne.jp/home/kumamori/
2005-03-28