以前オペラ座の怪人を見に行って
救いのない結末がなんともかわいそうだったので
救いのあるお芝居を見たいとミュージカルシラノを見てきました。
本当は江守徹さんのお芝居のシラノが好きなので
ミュージカルなのに歌は聞かずにセリフに集中してしまいます。
シラノの歌が少し聞き取りにくいと思ったら
雄弁なシラノの雰囲気が壊れないようにと
歌に歌詞をたくさんのせたのだそうです。
だからセリフと歌の境目に違和感がなかったんですね。

シラノが臨終の時に「あの世に持っていくのは」というセリフ
最初に見たときはきっと「愛する人の面影」というと思ったのです。
でもシラノは「心意気」と言って息絶えます。
「心意気」って何なんだろうとずっと思っていました。
もしシラノが愛するロクサーヌの幸せを本当に願ったのなら
手紙を書いたのは自分だと打ち明けて彼女を幸せにできたはず。
それをわかっていて沈黙を続けたのは
死んだ友人を裏切ることができなかったからでしょう。
死にゆく友人の耳元でささやいた言葉は嘘だったけれど
沈黙を続ける限りその言葉は本当のことになる。
愛よりも、愛する人の幸せよりも、
もっと大切なものがシラノの心意気

私は愛する人を二度失ったと言うロクサーヌのセリフは悲痛です。

2009-06-06