顧問先の社長からちょっと相談したいとお電話がありました。

その会社に長く勤める従業員さんの一人が住宅ローンを抱えていて、

金利も高く月々の返済額が大きくて大変そうなので何とか支援したい

退職金共済のお金がたまってきたので退職金の前払いはできないだろうかという相談でした。

「退職金を払って嘱託になるならともかく、そのまま正社員で給料を払い続けるのはおかしいし

税務署からみればそうやって利益調整をしたとしか思えません。

退職金の前貸しということで貸付金にするならいいですけど」

「でもね、それで月々の生活が少し楽になったら、その分貯金するよりつい無駄なぜいたくするんじゃないですか?

借金はやりくりして返せるけど、コツコツ貯金するのはむずかしいことだから、

金利分が損なようでも退職金のお金はしっかり会社でためておいてあげて

学費がいるとか医療費がかさむとか本当に困ったときに助けてあげたほうがいいんじゃないでしょうか」

そういうと社長は「それもそうやな」と納得されました。

本人さんが困ったと泣きついてきたわけでもないのに、本当に従業員思いの社長なのです。

「借金は返せるけど貯金はできない、だから借金しなさい」とは亡くなった父がよくいっていたことです。

経済が右肩上がりの父の時代にはまさにそうだったのでしょう。

今は経済情勢も違いますが、それでも一理あるような気がします。         2012/03/21